親が払ってくれていたお金のことは、何もわからない
住居費、食費、光熱費。自分が毎月払っている支出であれば、家計簿でもなんでもつければ見通しが立つ。だが教育費は違う。自分が一度も払ったことのないお金だ。
考えてみれば当然で、自分が子どもだった頃の教育費は親が全部払ってくれていた。ありがたいことに、そこに自分の財布は一切関わっていない。だから感覚がない。小学校の6年間でいくらかかったか、中学の3年間でいくらかかったか、おそらく大半の人が答えられないと思う。私も答えられない。
FIREを考えるうえで、将来の支出をざっくりでも把握しておきたいと思った。家賃は消える(持ち家なので)、食費や光熱費は今と大きく変わらない、おそらく旅行費用は増える。そのくらいのことは、今の生活から推測できる。だが教育費だけは、まったく見当がつかなかった。自分が払ったことのないお金のことは、調べるまで何もわからない。
調べてみると、条件によって全然違うことが分かった。すべて公立で国立大学に進めば、まあそれなりに収まる。だが子どもが私立医歯薬系の大学に進んだ場合、その1年目だけで500万円近い費用が発生する。同じ「子ども1人、大学まで」でも、進路次第で総額が倍以上になる。それをひとつひとつ調べて試算するのが、単純に面倒だった。
もうひとつ、意外な発見があった。FIREして収入がなくなると、住民税非課税世帯になりえる。住民税は所得にかかる税であって、資産の大きさは関係ない。売らなければ、収入は発生しない。そしてこの住民税非課税という状態は、高等教育の修学支援制度の対象になりやすい。つまり、FIREした親の子どもの方が、大学の授業料・入学金の減免を受けやすくなる可能性がある。
もちろん資産基準の要件があり、保有資産によっては対象外になる場合もある。また制度は改正されることがある。そのあたりは実際に制度の詳細を確認してほしいが、少なくともツールを動かして「年収レンジA」を選んだとき、支援前費用と実質負担額の差を見て、想像より大きく変わるな、と感じた。
そういう発見を、自分でちまちま計算するのではなく、自分が思い描く将来の条件を入力するだけでぱっと見られるようにしたのが、このツールを作った動機である。中学は公立か私立か、大学は国立か私立か、一人暮らしか自宅通学か。その組み合わせを変えながら、教育費の山がいつ・いくら来るかを確かめてほしい。
